STARBUCKS episode 2, 信頼してもらうということ

 前回、品川シーサイド駅にあるスターバックスさんでの”ほんわか幸せエピソード”を書きましたが、それが引き金になって思い出したスターバックスエピソードがあるので、STARBUCKS episode 2 としてみます。

 

 米国のスタバさんでのことです。ニューヨーク州のどこかの店舗なのですが、何しろかなり前のことなので、どこの店舗だったか曖昧なのです。でも、私の中では印象深かったんでしょうね。出来事自体は何年たっても色褪せず鮮明に覚えています。

 

 春まで手が届きそうで届かない冬のニューヨーク。寒さから逃れるようにして入ったSTARBUCKSで、私は二人掛けのテーブル席につきました。店内は混んでいるとも空いているとも言えない程度で、人々は思い思いの時間を過ごしています。

 私はひとり、温かいラテをちょこちょこと飲みながら、カバンから本と、年季の入ったポケットサイズの英和辞典を取り出して、本を読み始めました。

 

 日本語でも英語でもそうなのですが、解らないワードや見慣れない専門用語などが本の中に飛び交っている時、読んでいる文章を理解するうえで無視できないワードと、知らないまま読み進めても然程影響の出ない其れとに分かれます。

 

 その時の私は、取るに足らないような本を読んでいましたが、母国語でない英語の本なので、本を読み進めながら、たまに辞書で意味を調べて・・・という繰り返し。

 

  "Excuse me."

 

 ふいにかけられたその言葉で、私は本から目線を上げました。声をかけてきたのは、左隣の2人掛けテーブルの席にいる体のサイズがとても大きい、スーツ姿の白人男性でした。彼は、「少し席を離れるのだが、僕が離席している間、これらを見ていてくれないかな?」と私に言いました。「これら」というのは、彼のテーブルに所狭しとならんでいる2台のノートパソコンでした。

 

 なるほど。パソコン自体が盗まれるのも困るが、パソコンの中に入ってるデータやら仕事上の情報やら、とにかくこのパソコンに何かあったら大変だろうな、と私は瞬時に思いました。

 

  "Sure."

 

 私はある種の使命感みたいなものを感じながら、彼にそう言い、彼は笑顔を見せてから席を立ちました。

 

 本を読むのに集中してしまって彼のパソコンに何かあったら大変だ、と思った私は読んでいた本を伏せ、隣のテーブルでおとなしくしているパソコンたちを常に視界に入れながら、ぼんやりとラテを飲みながら店内の人間模様を観察していました。

 

 パソコンの持ち主は、5分くらいで戻ってきて、「お礼はマフィンでいいかな?」と聞いてきました私はたった5分くらいのことでしたし、別段何もしていないので、「え?!これでスタバのマフィン貰えちゃうの!?」と驚きながらも、マフィン買ってもらいましたね。笑

 

 単純に嬉しかった。笑

 

 冬のニューヨークのスタバで、恋が生まれる話でもないし(笑)、なんでわざわざブログに?と思われると思います

 

 私も、なんでこのエピソード、何年たっても私の中で色褪せないんだろう?と思って考えました。そうしたらいくつか理由がありました。

 

 理由1:”稀”度合い

 

 テーブルにパソコンを置きっぱなしで5分離席しても、パソコンが盗まれない国「日本」に住んでいる私には、こういったやり取りが珍しいんですね、単純に。笑

 文化を学ぶ上でも、こうした小さな出来事の積み重ねは、人としての広がりをもたらします。自分の文化圏にないものを日常の中で自然に体験することが大事ですね。

 

 理由2:信じてもらえたこと

 

 パソコンの彼の右隣に私、左隣のテーブルには3人組の米国人(英語で話していたので米国人と判断しました)が座っていました。後から考えると、英語が通じるかも分からないような東洋人の私に見張り番を依頼してきた理由は、彼が私を信頼してくれたからですね。

 

 人はまず見た目(表情や服装、仕草や全身から放つオーラ)で、相手が信用できるか否かを判断します。その後、長い付き合いになる人とは、時間をかけて、相手の家族友人を含め、お互いの信頼を深めていきます。

 仕事でもプライベートでも、やはり第一印象って本当に大事にしたいですよね。第一印象には、「優しそう」「頼りになりそう」「カッコイイ」「真面目そう」等々いろいろありますが、「このひとなら信頼できそう」という第一印象は最も大事な一つです。なぜなら、この世は「信頼」でなり立っているからです。見た目から受ける信頼もあれば、財産や収入、社会的地位などから判断される信頼もありますが、どんな信頼であれ、やはり大切です。

 

 人種や性別で誰かが差別されることはあってはならないのですが、誰しも多少の差別する心を持ってしまっていることでしょう。私は日本人として生きてきて、直接差別を受けたことはありませんが、この世界で東洋人としての自分を客観視すると、ビジネスで成功した人でもなく、世界的に名を知られるような偉業をなしとげたわけでもなく、ただの一人の日本人である私は、世界の人々から観て、信頼してもらうに足りているでしょうか。何をもって信頼してもらえるのか考えると、一番原始的なことに頼るほかありません。それは、朗らかさであったり、素直さであったり、人としての「あり方」ですね。最終的にはそれらを周りの人に感じ取ってもらうことになるのですが、やはり普段から、TPOに合わせた服装や髪形でいることや、言葉使いであったり笑顔であったりを気に掛けることの大事さに、自分自身で気づいていないといけませんね。他人から言われてするとかではなく、あくまで自分で気づくことが大事です。そして、そういうことに気付くためには、信頼してもらえた時、信頼してもらえなかった時、どんな小さなことでも自分の頭で考えることです。

 私は、見ず知らずの米国人ビジネスマンに信頼してもらえたことが嬉しかったんですね。だから私の脳は、このエピソードを長年にわたって、長期記憶の引き出しに入れたんですね。「信じる」「信じてもらう」これは小さな子供にとっても大事ですし、大人にとっても、仕事をするうえでも非常に大事です。漠然と生きるのではなく、日々の小さな出来事から学んでいく姿勢を私は崩さずにこの先も生きていこうと思います。

 

 理由3:小さなお礼

 

 日々思うのですが、仕事ができる人や、サービス精神がある人、周りの人々に幸せでいてほしいと願っている人は、小さなプレゼントや、さりげないお礼状、気の利いた行いを欠かしていませんね。たった5分パソコンを見張っていただけの私にマフィンを買ってくれた彼も、きっとサービス精神にあふれた人格者なのでしょう。

 

 さて、STARBUCKS episode2 と名付けた割にSTARBUCKSさんが舞台であったというだけでしたが、どこの国でもSTARBUCKSさんの店内って基本的には心地いいんですよね。だから小さなエピソードが沢山生まれているんじゃないかと個人的に思うわけです。

 

「うまく言葉では説明できないが雰囲気がいい」というのは、誰にでもできることではありません。STARBUCKSさんは見事それをやってのけていますし、私も一人の人間として、「なんだか雰囲気が良いな」と周囲に思ってもらえる人間になりたいものです。

 

 以上、原口メロ子でした☆彡

 

   Have a wonderful day!